南会津高校の統合計画に反対します

地域にとって高校があるかないかは生き方を大きく変える問題です。数合わせではなく、地域の暮らしを守るためいかにして残して行くかを考えるべきではないでしょうか。私たちは、福島県教育委員会の県立高校改革前期計画に反対します。

アンケート調査結果

今年、県立高等学校改革前期計画に対するアンケート調査を実施しましたので、ご覧ください。調査は約8割の子どもたちが南会津高校へ進学する南会津町南郷地域・同伊南地域の保護者(南会津中・南郷小・伊南小)を対象に行いました。

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県立高等学校改革の矛盾

県立高等学校改革の概要を説明します。

まずはどうして統合が必要かというと

【背景】

少子化の進行

2017年3月 18,482人

2028年3月 13,144人

約5,300人が減少する見込み→104学級程度の削減が必要

2018年に15学級削減済みなので、残り89学級

※89学級=約22校(1学年4学級規模の学校で換算)

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計画の背景

福島県の県立高校の状況
 ・福島県は1学年3学級以下の県立高校の割合が全国平均と比べて高い状況

  ⇨高い理由:東日本大震災により学校数を減ずることが出来なかった

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県立高校の状況

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福島県学校教育審議会の答申内容

少子化の急速な進行+小規模学校が多い+教育ニーズの多様化=一定の集団規模できめ細やかな指導が可能な学校規模

一定の規模=1学年4学級

となり、以下の高校が前期計画の中で統合することを決定しました。

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前期計画最終年度(2023年)時点での地区ごとの高校配置

 南会津町内に2つある田島高校と南会津高校が統合の対象となったわけですが、一方で県教委は過疎地や中山間地の例外措置として川俣・湖南・猪苗代・西会津・只見の6校の1学級本校化を認めました。

 

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地域協働推進校

 例外措置の要件は

「過疎・中山間地域の高等学校において、地理的条件や公共交通機関の状況等から、統合により近隣の高等学校への通学が極端に困難になり、当該地域の生徒の教育機会が著しく損なわれる場合や、地元からの入学者の割合が著しく高い場合など、特別な事情がある場合には、1学級本校化を例外的に実施することとし、以下の6校をその対象校とします。」

となっています。

①地理的条件や公共交通機関の状況

②統合により近隣の高等学校への通学が極端に困難になる

③地元の入学者の割合が高い

私たちは県教委が示した上記3つの要件を南会津高校や南会津町西部地区は満たしていると考えます。

①地理的条件=豪雪地帯、公共交通機関十分でない

②近隣への高校への通学=統合校まで最遠で50km以上

③地元率=南会津高校の生徒のうち南会津町から通う生徒110名/全校生徒122名

     ⇨地元率=90%

しかし、県教委は「地元」とは最も近い高校を選択した場合として、田島地区から通う生徒を「地元」としては認めません。

このようなことから、私たちは県の改革計画を「数合わせ」と捉えています。どうして田島地区の子どもたちが南会津高校を選択するのか、どうして南会津高校が選ばれるのか、そこに考えを巡らすことをなぜしないのか、残念でなりません。

合意形成なしの改革

11月26日に行われた県立高等学校改革懇談会で県教育委員会は、統合校となる現在の田島高校の敷地内に寄宿舎を建設することと、統合により通学距離が遠くなる生徒に対し助成していく考えを示した上で、鈴木淳一教育長は「今後は田島高校と南会津高校の統合を前提に計画通り進めて行く」と発言されました。

これは今後は統合に向けて寄宿舎の建設やバスの運行など、具体的事項について実質的な話し合いをしていくことを意味するもので、私たち南会津高校の存続を願う住民の声には応じない、統合の是非についての協議はしないことを示すものです。

私たちはこれまで通学に関し、最も遠くて50km以上となる距離、そして豪雪地帯である南会津地域の気候から通学の困難さを訴えるとともに、早急な統合計画に反対してきました。教育長の上記の発言は、この訴えに対する返答であり、これを解消すれば統合しても問題ない、という主旨です。

しかし、鈴木教育長。私たちはそのような解決策を望んでいるのではありません。私たちが望んでいるのは、もっとこの地域の気候や私たちの暮らしの状況を見た上で、少子化の課題とともに地域の高校のあり方を協議しましょう、ということなんです。

上意下達に計画を進めようとする改革案に対する意志の強さ、必要性の主張は理解します。確かに少子化は大きな問題です。しかし、論点を通学だけに絞ったり、当初から統合ありき、期限を決めた上で計画を進めるという姿勢はいかがなものでしょう。子どもの数に合わせて高校の数を調整する、という考え方の計画は、本当に子どもたちのより良い学びに繋がるのでしょうか。

さらに、県教育委員会はこれまでの説明会では私たちの質問に対する明確な返答なしに「今後検討する」を繰り返すばかりの姿勢を貫いてきました。それが今回の懇談会で一転して「これでおしまい」とばかりに今回寄宿舎の建設と通学費助成について発表しました。自ら発表して「もう協議はしません」。

「合意形成」のかけらもない強引な手法で、これまで大切に育んできた高校がなくなることは許せません。高校があるかないかは、子どもたちにとっても、そして私たち地域住民にとっても大きな問題だということを理解されていますか。

皆さんはいかが思われますか。

 

ブログを開設しました

福島県立南会津高校は南会津町西部にある小さな高校です。昭和35年に設立され、地域の学校として地域に育まれてきました。

生徒の希望に沿った進路指導が大きな特徴で、国公立大学から就職まで、きめ細かい指導が行われています。また、地域に伝わる郷土芸能や地域貢献にも力を入れ、地域の一役をになっています。

そんな南会津高校を昨年2月に突然激震が襲いました。福島県教育委員会の県立高校改革計画によって統合の対象となったのです。地域から高校がなくなるということは、子どもたちにとって選択肢がなくなることを意味します。

少子化の急速な進行は全国の地方で大きな課題ですが、数合わせで教育機関の統合を進めていけば地域はさらに衰退します。県教委の早急な計画の進め方は、地域住民との合意形成を無視したもので、将来に禍根を残す恐れがあります。県教委に丁寧な議論と説明を求めます。